ブラジル-治安 テロ情報.001

ブラジルでは、引き続き黄熱が流行しています。今回新たに、同国中西部のゴイアス州で黄熱の感染確定例が報告されました。

 

 
1 ブラジルにおける黄熱の発生状況
(1)世界保健機関(WHO)は、現在のブラジルにおける黄熱の流行を受け、同国の黄熱リスク評価を見直し、これまで黄熱ワクチンの接種推奨地域に含まれていなかった、リオデジャネイロ州全域を含む大西洋側の一部地域を新たに黄熱ワクチン接種推奨地域に追加しています。サンパウロ州においては、サンパウロ市を除く全域が推奨地域となっています。

(2)ブラジル保健省は、2016年12月1日から2017年5月25日までのブラジル国内の黄熱感染確定例を次のとおり発表しています。今回新たに中西部のゴイアス州で報告されたほか、これまでのところ、南東部のエスピリト・サント州、ミナス・ジェライス州、リオデジャネイロ州及びサンパウロ州、北部のトカンチンス州及びパラ-州において報告されています。

               
○南東部
「エスピリト・サント州」    
報告数:817例(120例)
確定数:250例(82例)
調査中:219例(21例)
黄熱ではなかった数:348例(17例)

「ミナス・ジェライス州」
報告数:1,591例(222例)
確定数:486例(163例)
調査中:220例(15例)
黄熱ではなかった数:885例(44例)

「リオデジャネイロ州」
報告数:79例(10例)
確定数:16例(7例)
調査中:8例
黄熱ではなかった数:55例(3例)

「サンパウロ州」
報告数:370例(47例)
確定数:20例(10例)
調査中:37例
黄熱ではなかった数:313例(37例)

 
○北部
「トカンチンス州」
報告数:20例
確定数:1例
調査中:3例
黄熱ではなかった数:16例

「パラ-州」
報告数:45例(6例)
確定数:4例(4例)
調査中:12例
黄熱ではなかった数:29例(2例)

 
○中西部
「ゴイアス州」
報告数:75例(6例)
確定数:1例(1例)
調査中:21例(1例)
黄熱ではなかった数:53例(4例)

※()内は死亡例数

 最も多くの感染者が報告されているミナス・ジェライス州では、同州知事が1月13日付けで同州の4つの市(コロネル・ファブリシアーノ市、ゴベルナドル・ヴァラダレス市、マニュミリム市及びテオフィロ・オトニ市)に対して、黄熱に関する180日間の緊急事態宣言を発出しています。

(3)2月1日、米国疾病管理予防センター(CDC)は、ブラジルに渡航する米国人に対して、「高度の注意(enhanced precautions)」を呼びかける渡航情報(3段階の中間レベル)を発出し、生後9か月以上の流行地域への渡航者は黄熱ワクチンを接種すべきとしています。

 
2 黄熱について
(1)感染経路
 黄熱は、黄熱ウイルスに感染した蚊(ネッタイシマカ等)に刺されることでかかる全身性の感染症です。アフリカ(主に中央部)と南アメリカ(主にアマゾン地域)等で感染者が報告されています。ヒトからヒトへ感染することはありません。

(2)症状
 通常3~6日の潜伏期間の後、発熱、頭痛、筋肉痛、嘔吐などの症状を示します。感染しても症状がないか、軽い症状のみで終わる場合もありますが、症状を呈した患者のうち15%が重症になり、黄疸、出血傾向を来たし、重症になった患者の致死率は20~50%に達すると言われています。発症した場合には、重篤になるリスクの高い感染症と言えます。

(3)治療方法
 特別な治療法はなく、対処療法が行われます。

(4)予防
 黄熱は、黄熱ワクチンの接種により予防することができます。1回の予防接種で終生免疫を獲得することができると言われており、WHOの勧告に基づき2016年7月11日以降、黄熱予防接種証明書(イエローカード)の有効期間は、これまでの10年から生涯有効に変更されています。イエローカードは接種後10日後から有効となりますので、渡航を計画されている方は、早めに接種を行うことが大切です。なお、現在ブラジル政府は入国時にイエローカードの提示を求めていませんが、手続きが変更される場合もありますので、詳細は現地在外公館に確認し、最新の情報を入手してください。
 また、黄熱はウイルスをもった蚊に刺されることで感染することから、現地では、長袖・長ズボンを着用し、定期的に蚊の忌避剤を使用するなど蚊に刺されないための対策を講じてください。

 
在ブラジル日本国大使館

 
出典:外務省海外旅行登録「たびレジ」提供情報を加工して作成

 

 

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