フィリピン(首都マニラ、観光地セブ島等)への旅行を検討中の皆様へ

本記事では日本国外務省の配信情報をもとに、フィリピン(首都マニラ、観光地セブ島等)への旅行・観光時の留意事項をご紹介致します。

 

 
1 滞在許可・旅券(パスポート)等
 外国人には通常,それぞれの目的に応じ滞在許可期限が付与されます。詳しくはフィリピン入国管理局にお問い合わせください。なお,何の手続もとらないまま,与えられた期限を過ぎて滞在し続けた場合は「不法滞在者」として,場合によっては拘留され,処罰されることになります。以下の諸点にも留意して,不法滞在者となってはじめて事態に窮することのないよう,計画的な滞在を心がけるようにしてください。

(1)長期に滞在する場合の外国人登録について
 観光,商談等商用目的等の一時的訪問として短期間(59日以内)滞在する場合,またはバリクバヤン・プログラムにより最大1年間の無査証滞在許可を与えられた場合を除き,14才以上のすべての外国人は,フィリピンに到着した日から30日以内にフィリピン入国管理局又はその出先機関で外国人登録を行う必要があります。また,14歳未満の子供でも14才の誕生日前の15日以内に登録を行う必要があります。
 外国人登録証(ACR-I Card)は,長期に滞在する場合に加え,延長手続を行って59日間の滞在が許可される一時的訪問者にも発行されますが,常時携帯に関するフィリピン入国管理法上の明文規定はありません。ただし,以下(2)のとおり,身分事項を証明するものの提示を求められた場合には,在留している身分を証明できるものとなります。なお,記載事項に変更があった場合は直ちに申告しなければなりません(住所変更の場合は変更の24時間前までに申告する必要があります。)。
 なお,SRRV査証(=PRAビザ)所持者に対してはフィリピン退職庁(PRA)が,SIRV査証(=投資家用特別居住ビザ)所持者に対してはフィリピン投資委員会(BOI)が,また47(A)(2)査証(PEZA登録企業関係者)所持者に対してはフィリピン経済区庁(PEZA)がそれぞれ各機関独自の身分証(ID)を発行しますので,各機関へそれぞれお問い合わせください。

(2)旅券(パスポート)の携行について
 旅券(パスポート)については,フィリピン入国管理法上,携帯義務の明文規定はありませんが,外国人は,警察官や入国管理局から身分事項を証明するものの提示を求められた際に,有効なパスポートと査証を提示する必要がありますので,フィリピン滞在中はできる限りパスポートを携帯してください。紛失防止のため別の場所に保管していたり,査証の更新手続中でパスポートが手元になかったりする場合には,最低でも身分事項と査証のページのコピーを携帯するとともに,その他の身分を証明できるもの(例:外国人登録証)を携帯することにより自ら身分事項を証明できるよう,常に慎重な配慮を心がけてください。

(3)就労許可について
 外国人が就労するためにはまずフィリピン労働雇用省(DOLE)発行の就労許可(AEP)を取得する必要があります。その上で,必要な労働ビザを申請・取得してください。就労許可(AEP)は1年間有効で,延長を希望する場合は,期限が切れる15日前までに申請を行ってください。不法就労は厳しい取り締まリの対象となりますので十分留意してください。

(4)在留届の届出
 海外に3か月以上滞在される方は「在留届」の提出義務があり,緊急時の連絡などに必要ですので,到着後遅滞なく在フィリピン日本国大使館(又は各領事事務所)に「在留届」を提出してください。また,住所その他の届出事項に変更が生じたとき又はフィリピンを出国する(一時的な旅行等を除く)ときは,必ずその旨を届け出てください。在留届は,在留届電子届出システム(ORRネット,http://www.ezairyu.mofa.go.jp/ )による登録をお勧めします。また,郵送,ファックスによっても届出を行うことができますので,大使館まで送付してください。

 
2 写真・ビデオ撮影等の制限区域について
 写真・ビデオ撮影等の制限については,その区域等に明確な規定はありませんが,空港や政府関連施設内及び立入禁止区域等の撮影は禁止と考えたほうがよいでしょう。

 
3 麻薬等違法薬物について
 麻薬等薬物に係る規制は非常に厳しく,外国人も例外ではありません。アヘン,モルヒネ,コカイン,ヘロインについては10グラム,大麻(マリファナ)は500グラム,覚醒剤は50グラム等,一定量以上は所持だけで,場合によっては終身刑等の重刑が科されます。またこれらの量に満たない場合であっても,6か月以上20年以下の禁固刑が科されます。「外国人旅行者だから少しぐらい・・・」といった考えは絶対に通用しません。違法薬物には絶対に興味を示さないようにすることはもちろん,繁華街の路地裏など麻薬・薬物犯罪の温床となるような場所には近づかない,不審なもの(タバコ,高級茶葉と称される例が多い)を購入しない,そして,外国人が禁制薬物(覚醒剤等)を持ち込もうとしてマニラ国際空港で逮捕される事件が発生していますので,見知らぬ人物から物品の購入や運搬を依頼されても決して応じないことが肝要です。
 現在,フィリピンでは国を挙げて覚醒剤などの違法薬物対策に取り組んでおり,これまで以上に違法薬物関連の犯罪に対して警察等による取り締まりが強化されています。また,犯罪者の殺害を含む強硬な対応がとられる場合もありますので,違法薬物に関わらないよう細心の注意を払ってください。
 なお,次の点にも留意してください。
○警察によるおとり捜査も実施されており,興味を示した観光客等が,密売人と思しき人物から何らかの薬物を入手した時点で現行犯逮捕されることもある。「ただ,実物を見てみたかっただけなのに・・・」等の言い訳は通用しないので留意する。
○自分では気付かないうちに「運び屋」として利用される可能性もあるので,出国の際,見知らぬ人物又は知り合ったばかりの人物から,「△△氏へのおみやげを持って行って欲しい。」などの依頼を受けた場合は,毅然とした態度をもってこれを断る。なお,知らない間に手荷物に薬物等を入れられてしまうこともあるので,空港等においては手荷物の管理を徹底することが肝要。

 
4 賭博行為について
 賭博行為は,法律で認められている場合(フィリピン娯楽賭博公社(PAGCOR)が運営する施設,公営競馬,公営闘鶏など)を除き,カードゲーム,麻雀などの私的賭博行為に関与した者はすべて処罰の対象となります。(ちなみに,違法賭博の取締りに関する大統領令では,違法賭博に関する情報提供者には報償金が与えられます。)違法賭博に関与した外国人は,身柄を拘束されるばかりでなく,保釈されたとしても,その後の公判期間中は出国を停止され,有罪となれば,禁固刑を科されたり国外退去となる例もあります。
 最近では,観光客の多いセブ島において,日本人旅行者,特に語学留学生がいかさま賭博(トランプ)の被害に遭う事例が報告されていますので,注意するようにしてください。

 
5 売買春について
 売買春も処罰の対象となり,フィリピン刑法により半年以上6年以下の禁固刑等が科されます。また,18歳未満の未成年者に対するわいせつ行為等は,たとえ双方合意の下でも,場合によっては最高で終身刑等の重刑が科されます。売買春の勧誘又は強要を行った場合も同様に重刑が科されます。
 フィリピンでは,売買春に絡む恐喝,いわゆる美人局(つつもたせ)や詐欺まがいの例に巻き込まれる外国人旅行者が少なくありませんが,多くの場合,旅行者の遵法意識が欠けていることも事実です。誘いに乗ることのないようくれぐれも留意してください。

 
6 一部都市における禁煙条例の適用について
 マニラ首都圏,セブ市及びダバオ市等においては,公共スペース等での喫煙を禁じる条令が実施されています。主に警察官や地方自治体の係員が厳格な取締り活動を行っていますので,喫煙者におかれては,常にモラルある喫煙を心がけましょう。具体的な喫煙禁止場所及び罰金は次のとおりです。

(1)マニラ首都圏
ア 喫煙禁止場所
 全ての官公庁,教育機関,病院,診療所,100平方メートル未満の密閉された公共の場所(飲食店,宿泊施設,公共交通機関(タクシー,バス,ジプニーなど),ショッピング・モール,民間企業事務所)など(なお,路上や屋外スペースでの「歩行喫煙」や吸い殻の「ポイ捨て」行為は,これらの喫煙禁止場所以外でも常に処罰の対象となる可能性がありますので,くれぐれも御注意ください。)
イ 罰則
 罰則はそれぞれの自治体で異なりますが,マカティ市の一例では,違反者はその国籍を問わず,初犯で1,000ペソ,再犯で2,000ペソ,三犯以上では3,000ペソの罰金又は3日以上6日以下の禁固又はその双方の罰則が科されます。

(2)セブ市
ア 喫煙禁止場所
公共の場所,建物入口(ロビー),病院・医院,学校,公共交通機関ターミナル,官公庁,民間事務所
イ 罰則
初犯で2,000ペソ,再犯で3,000ペソ,三犯では4,000ペソの罰金或いは最低6ヶ月の禁固。ただし,裁判所の判決によっては,罰金,及び禁固の双方が科される場合もあります。

(3)ダバオ市
 ア 喫煙禁止場所
 公共のスペース(但し、特に喫煙スペースが設置されている場所を除く。)
 イ 罰則
 違反者はその国籍を問わず,初犯で罰金1,000ペソあるいは禁固1か月又はその双方,再犯で罰金2,500ペソあるいは禁固2か月又はその双方,三犯以上では罰金5,000ペソあるいは禁固4か月又はその双方がそれぞれ科されます。
 なお,運転中や公共交通機関乗車中に喫煙した場合も, 同様の罰則が適用されます。

 
7 交通に関する注意事項について
(1)フィリピン国内を移動する際の注意
 フィリピン国内を旅行する際には,あらかじめ現地旅行会社等に十分確認の上,安全な移動手段の確保に努めてください。
 主な交通手段としては,バスやジプニー,トライシクル等が庶民の足として親しまれていますが,運転が乱暴であったり,整備が十分でない,あるいは保険に加入していないなど,その安全水準は日本に比べて非常に低い状況にあります。また,車内で強盗やスリ等の被害に遭う事例も多発していますので,その利用に当たっては十分な注意が必要です。
 また,7,000以上の島々から構成されるフィリピンでは,船舶が島々への移動の主要交通手段となっていますが,その運航については必ずしも十分な安全基準を満たしているとは言い難い例もあり,これまで度々,船舶同士の衝突事故や沈没,座礁事故等が発生しています。2013年8月には,ビサヤ地方セブ州において乗客・乗員831人を乗せた大型フェリーが貨物船と衝突・沈没し,死者・行方不明者137人を出す惨事となりました。特に,フィリピンの学校が夏期休暇となる4月から6月にかけては,多くの人の移動が見込まれることから,定員以上の乗客を乗せて船舶を運行するという例も少なくなく,注意が必要です。

(2)車の運転に当たっての注意
 車両は全て右側通行(左ハンドル)です。
 停電や故障で信号機が機能していない交差点や,元来信号機のない交差点も多く,また場所によってはラウンド・アバウト(環状交差点)もあります。歩行者優先,直進車優先といった法規のないこの国では,先行するものが優先される習慣があり,バス等大型車両を含め無理な追い越しや割り込みは日常的に行われ,また,交差点を中心に大変な混雑が生ずることもあります。タクシー,バス,ジプニーなどの公共の乗り物は,乗客の乗降のため,後方車両に注意を払わず急ブレーキをかけることもあります(割り込みなどは日常的に行われます)ので注意が必要です。
 なお,車両の前部座席(運転席,助手席)ではシートベルトの着用が義務づけられています(バス,ジプニーなどの特殊な乗り物は除きます。)。また,車両運転時における携帯電話の使用は処罰の対象となります。それぞれ御留意ください。

 
8 国境を越えた子どもの連れ去り(ハーグ条約)
2016年6月1日,国境を越えて不法に連れ去られた子の返還の仕組み等を定める「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ条約)」が,フィリピンと我が国との間で発効しました。そのため,日本からフィリピン等,フィリピンを含み,一方の親の監護権を侵害する形で子どもを常居所地国であるハーグ条約締結国から他のハーグ条約締約国へ連れ去り又は留置した場合は,原則的に子が元の居住国に返還されることとなります。

 
出典:外務省 海外安全ホームページ(http://www2.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure.asp?id=013)

 

 

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