スリランカにおいては依然としてデング熱が流行しています。今回の集中豪雨の影響でデング熱をはじめとして感染症が広まる危険性がありますので,十分注意してください。

 

 
1 デング熱
(1)罹患者数
 スリランカ保健省の発表によれば,スリランカ全土における本年1月から現在までのデング熱罹患者数は55,377人に上り,2017年の5ヶ月間のみで既に昨年1年間の罹患者数を上回るなど,過去最大の流行となっています(このうち約43%がコロンボを含む西部州で発生)。

(2)予防対策1(蚊に刺されない)
 現在のところスリランカにおいてデング熱ワクチン(Dengvaxia®)は承認されておらず,また有効な予防薬もないため,蚊に刺されないようにすることが最善の予防方法です。長袖シャツ・長ズボンなどを着用し肌の露出を少なくするとともに,昆虫忌避剤(DEET入りの虫除けスプレーやクリーム,商品名:Odomos等)を2~3時間おきに塗布するなど予防措置に努めてください。その他,スリランカでは蚊よけ対策として一般的にシトロネラオイル(商品名:CITRO等)やアーユルヴェーダ系バーム(商品名:Shiddhalepa Ayurvedic Balm等)などが使われています。

(3)予防対策2(蚊の発生源を絶つ)
 蚊はわずかな水たまりでも繁殖します。現在スリランカは雨期に入っており,また今般の集中豪雨の影響もありますので,蚊の繁殖を防ぐため,タイヤ,バケツ,おもちゃ,ペットの餌皿等を屋外放置しない,植木の水受け等には砂を入れるなどの対策を取ってください。

(4)感染が疑われる場合
 突然の高熱が2日以上続くなど感染が疑われる場合には,早期に医療機関を受診してください。その際,検査受付で依頼する項目はDengue Virus NS1 Antigen,Dengue Antibody Test及びC.B.C(Full Blood Count)です。
 なお,デング熱の感染が疑われる場合,解熱剤としてアセトアミノフェン(Acetaminophen)を用いてください(商品名:パナドール,パラセタモール,タイレノール等)。アセトアミノフェン以外は血小板機能を抑制するため使用してはいけません(使用してはいけない薬剤:アスピリン,イブ,バファリン,ロキソニン等)。

 
2 その他感染症
(1)チクングニア熱
 スリランカにおいては蚊が媒介するチクングニア熱にも注意してください。潜伏期間や症状などはデング熱と非常に似通っています。予防対策や感染が疑われる場合の対応なども上記1のデング熱と同様です。なお,医療機関での検査項目はChikungunya Antibodyです。

(2)レプトスピラ症
 集中豪雨による洪水被害などの被災地ではレプトスピラ症が蔓延する危険性があります。
 レプトスピラ症は,ネズミをはじめ動物の尿に汚染された土壌や水が,体の傷や粘膜に接触することによって感染します。2日~14日間の潜伏期間があり,風邪のような症状のみで治る場合もあれば,黄疸,出血,腎障害など重症化することもあります(ワイル病)。
 現在のところ予防ワクチンはありません。特に洪水被害を受けた地域では,川,湖沼や水溜まりなどに不用意に入らないようにするとともに,不衛生な水は飲まないなど衛生管理を徹底してください。

(3)水系感染症(赤痢,チフス,コレラ,A型肝炎等)
 この他,今般の集中豪雨により赤痢,チフス,コレラ,A型肝炎等などの経口感染症が流行する危険性も排除できません。
 特に今般の集中豪雨の被災地などでは,不衛生な水を飲まない,水道水なども一度煮沸してから使用する,食品にハエがたからないよう気をつける等食品衛生管理を徹底しください。
 また,コロンボなどの都市部においても,地下水(井戸水)が汚染されている場合がありますので,ミネラルウォーター(Bottled water)を飲用するなどしてください。

 
在スリランカ日本国大使館

 
出典:外務省海外旅行登録「たびレジ」提供情報を加工して作成

 

 

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