外務省は,ジカウイルス感染症に関する感染症広域情報を更新(発出対象国追加)しました。メキシコにおいても感染者数が増加しており,引き続き注意が必要です。
(1)ジカウイルス感染症について,メキシコ国内でまだ感染が確認されていない地域は, メキシコ市,メキシコ州,トラスカラ州,ケレタロ州,グアナファト州,ドゥランゴ州及びチワワ州のみとなっており、これ以外の州では既に検査で確定した感染者が発生しています。確定患者数は2015年11月のメキシコ国内初感染例以降、累計で約8000例となっていますが、これは妊婦を中心に検査を行っていることや,ジカウイルスに感染しても8割程度の人には症状が出ないと言われていることから,実際にはこの数倍以上の感染者が発生していると考えられます。
ジカウイルスの妊婦への感染と胎児の先天性の神経障害(小頭症など)の間には関連があることがほぼ確実となっていますが,メキシコ国内でも2016年にジカとの関連が強く疑われる小頭症の症例が発生しています。また,同じく関連が疑われるギラン・バレー症候群の症例も数例発生しています。
(2)ジカウイルス感染症には特別な治療はなく,予防のためのワクチンが実用化されるまでにはまだ時間がかかる模様です。感染経路は蚊に刺されることに加え,性交渉を介したものも明らかになっていますが,まずは蚊に刺されないことが最も有効な予防手段です。ジカウイルス感染症を媒介するネッタイシマカやヒトスジシマカは,メキシコでも患者が多く発生しているデング熱やチクングニヤ熱も媒介するので,これらの病気にかからないためにも蚊対策は重要です。
そのためには家の周囲などに蚊が繁殖する水たまりを作らないこと,蚊が生息する場所ではネッタイシマカやヒトスジシマカが活動的になる日中から夕方にかけては肌を露出しない衣服を着用し,有効な成分を含む虫除け剤(成分としてディート(DEET,N,N-Dietil-3-metilbenzamidaまたはN,N-Dietil-m-toluamidaとも表記),ピカリジン(Picaridina,Icaridina,KBR3023と表記)またはIR3535(Ethyl N-acetyl-N-butyl-ß-alaninate,Ethyl Butylacetylaminopropionateと表記)を含むもので,これらはメキシコ国内で入手可能)を使用するなどして蚊に刺されない工夫をすることが必要です。
なお,これらの成分を含む製品の例は下記のとおりです。これらの製品には同じブランド名でも有効成分の濃度が異なるものがあり,濃度が低いものは効果の持続時間が短く,頻回の使用が必要となりますので,使用の際には製品に記載された用法・用量に従い,適切に使用して下さい。
在メキシコ日本国大使館
出典:外務省海外旅行登録「たびレジ」提供情報を加工して作成