中国(首都北京)への旅行を検討中の皆様へ

本記事では日本国外務省の配信情報をもとに、中国(首都北京)への旅行・観光時の留意事項をご紹介致します。

 

 
 中国政府は自国の法律を遵守する外国人は歓迎する一方で、これに違反する者は、厳しく取り締まる方針を打ち出していますので、十分に留意してください。中国に渡航、滞在される方は、中国の法令を遵守し、違法行為を厳に慎むようにしてください。

 
1.パスポートに関する注意
(1)常時携帯
 16歳以上の外国人はパスポートを常に携帯することが「出境入境管理法」で義務づけられています。街頭で警察官に職務質問をされた際などにパスポートを提示できないと、派出所へ連行され事情聴取を受けることもあります。また、年齢を問わずホテル等に宿泊する際にはパスポートの提示が必要ですし、航空機や高速鉄道等を利用する場合でも原則パスポートが必要です。
 深夜に酔っ払って暗い道を歩いていたら警察官から職務質問を受け、パスポートを携帯していなかったので派出所へ連行されたが、この扱いに立腹し、酔いも手伝って、派出所で暴言を吐き、派出所の備品を破壊してしまったため、そのまま身柄を拘束されてしまったという旅行者の例もあります。パスポートを携行していないことだけで既に法律違反を構成に該当してしまうことを十分念頭に置く必要があります。

(2)盗難注意
 近年、日本人がパスポートを盗まれる事例が増加しています。万一中国国内で盗難に遭った場合は、直ちに最寄りの派出所あるいは公安当局(出入国管理部門)に赴き、「事案発生(報案)証明」と「紛失(報失)証明」をそれぞれ入手するとともに、最寄りの日本国大使館又は総領事館の領事窓口までご連絡・ご相談ください。
 なお、新たなパスポートや「帰国のための渡航書」の発給を受けた場合、その後あらためて出入国管理部門に出向いて出国ビザや滞在ビザを申請・取得する必要があります。この一連の手続きが終了するまでには概ね1、2週間かかるため、日本への帰国や中国国内の移動ができなくなります。

 
2.臨時宿泊登記
 外国人は、その滞在地において、24時間以内に現地公安局に対して「臨時宿泊登記」をしなければなりません(「出境入境管理法」)。
 ホテルなどの宿泊施設や、フロントデスクがあるホテルサービス型マンション等では、フロントデスクでチェックインをすれば、この登記を自動的に代行してくれるので、宿泊者本人が何か手続きをする必要はありませんが、問題になるのは、親族や友人の自宅に泊めてもらうような場合、あるいは長期駐在員が日本から来た親族や友人を自宅に泊めるような場合です。その自宅が一戸建てであったり、フロントデスク等のない一般的なアパートである場合、宿泊者本人と宿泊先の主人とが直接、最寄りの派出所に出向いて「臨時宿泊登記」を行わなければなりません。この登記を行わない場合は法律違反となります。また、居留許可取得手続き、あるいは滞在許可の延長手続きなどをするためには、この登記に基づいて発行される「臨時宿泊証明書」が必要となりますので、忘れずに登記を行うようにしましょう。

 
3.旅行制限等(開放地区・未開放地区)
(1)中国には、外国人が特段の許可を取ることなく自由に行ける「開放地区」と、そうではない「未開放地区」があり、かつては多くの場所が未開放地区でした。
 しかし、改革・開放政策が進むにつれ未開放地区は減っていき、今や、市や県といった行政区画レベルで丸ごとその市やその県が未開放地区であるというような場所はほとんどなくなったと言ってもよいほどです。それでもまだごく一部に未開放地区は残っています(具体的な未開放地区はリスト化されていないようですが、2013年8月にも青海省西寧市の未開放地区に手続きを経ずに入った外国人が処分されたとの報道があります。)。また、「未開放地区」という位置づけではありませんが、チベット自治区は入域の前に「入藏証(チベット入境証)」を必ず取得しなければなりません。前述の未開放地区へ訪れるにも、事前に公安局に申請して旅行証明書を取得する必要があります。

 (注)これまで長く未開放地区だった旅順(大連市旅順口区)は、2009年11月21日付で、中国国務院及び中央軍事委員会により対外開放が批准され、軍事施設とその周辺地域を除き、外国人の入域制限が緩和されました。

(2)行政区画レベルの未開放地区はほとんどなくなったものの、開放地区とされている市や県の中に部分的に立ち入り禁止区域が設けられていることがあり、外国人にとってはその存在が非常にわかりにくいので、旅行者が「知らなかった。」という状況に陥りやすくなっています。
 その典型的な例は「軍事禁区」と「軍事管理区」です。また、これらに区域に指定されていない施設もあります。これらは「軍事施設保護法」によって管理されており、無断で立ち入ったり、写真・ビデオ撮影を行ったりすると違法行為となるおそれがあります。この問題の最も難しいところは、中国における「軍事施設」の概念が非常に広く、日本の感覚では「えっ、どうしてここが軍事施設?」と驚いてしまうような場所も軍事施設に指定されていることです。だからこそ、日本人旅行客がうっかり軍事施設に入ってしまい、あるいは写真を撮っていたら軍事施設が写り込んでしまい、身柄を拘束され、罰金を科せられたり強制退去させられたりするケースが起きやすいのです。空港、演習場など、「これはもしかしたら軍用建造物かも・・・」と推測できるものもありますが、政府関係施設や鉄道の橋梁、ダム、人民解放軍が経営している病院、退役幹部の住宅・別荘地なども軍事施設として扱われるものがあり、一見してそれとわからないものも多々ありますので、注意が必要です。

 
4.写真撮影の制限
 前述のとおり、特に軍事関係の施設・設備は写真撮影が厳しく制限されています。また、一般市民や少数民族等による街頭デモなどの政治活動を写真撮影していて、警察官からフィルムを取り上げられた例もありますので十分留意しましょう。
 なお、一部の博物館、美術館等では写真撮影が禁止されています。撮影の前によく確認することが肝要です。

 
5.麻薬等違法薬物犯罪
 中国政府は、大麻・麻薬類や覚醒剤等の密輸、販売、運搬、製造、所持、譲渡を厳しく取り締まっています。最近は運び屋などをやった日本人が検挙されるケースも多数発生しています。違反者には厳罰が科せられ、最高刑は死刑です。これまでに6人の日本人死刑囚に対して刑が執行されています。
 麻薬等違法薬物犯罪に巻き込まれないためには、薬物に関係しているような怪しい人物とは関わらないように留意し、薬物使用等に関する誘いや、怪しい物品の保管や運搬の依頼は断固として断ることが肝要です。

 
6.不法就労
 中国で就労するためには、勤務先が発行する就業許可証に基づき、まずは駐日中国大使館・総領事館等で就労ビザ(Zビザ)を取得して中国へ入国し、更に公安局で「居留許可証」を取得した上、労働・社会保障局から最終的な許可を受けなければなりません。訪問ビザ(Fビザ)での就労は認められておらず、また、留学生のアルバイトは2013年7月1日施行の「出境入境管理法」で手続きを経れば可能であることが規定されていますが、複雑な手続きが必要なので、所属先の学校によく相談することが必要です(手続きを経ずにアルバイトをした場合には、不法就労となります。)。不法就労をした場合は、5000元以上20,000元以下の罰金(行政罰)が科せられ、行政拘留や国外退去処分を受けることもあります。

 
7.売買春等
 中国では、買春で行政処罰を受ける日本人があとを絶ちません。日本国大使館・総領事館では、日本人が厳重な処罰を受けた買春事案が発生するごとにホームページ等で注意喚起を行っていますが、事案の発生は途絶えません。
 売買春の行為(性的サービスを伴うマッサージ等を含む)は犯罪であり、「治安管理処罰法」の適用を受けます。検挙された場合、最高15日以内の拘留及び5,000元以下の罰金が科せられるほか、国外退去処分を受け、その後中国へ一定の期間入国禁止となる場合もあります。
 売春の勧誘には様々な形態があります。「旅の恥はかき捨て」と気持ちを緩めるのは大きな誤りです。くれぐれも安易な行動は慎みましょう。

 
8.銃器犯罪
 中国では、銃器類の製造・販売管理が不十分で、特に、国内における貧富の格差の拡大等に伴い、暴力団(黒社会)関係者による銃器を用いた殺人・強盗殺人等の凶悪犯罪が多発する傾向があります。

 
9.外国人が注意すべき活動
(1)政治活動
 外国人の集会、行進、示威等の政治活動を行うことは厳しく制限されています(例えば「集会遊行示威法」)。これらの活動に参加し、公安局等主管機関の関係法令等に違反した場合、活動の種類や程度によって処罰を受けます。単にビラを配布しただけでも、その記載内容によっては、違法又は犯罪と認定され、厳罰が科せられることもあります。

(2)機密漏洩行為
 コピー店で統計資料などをコピーした場合でさえ、コピー店から公安局に通報され、国家機密を盗んだとして処罰されることもあります。国家機密や漏洩に関する処罰等は「国家保秘法」に規定がありますが、国家機密の範囲は広範であり注意が必要です。また、学術的なサンプル調査(アンケート用紙配布等)を実施する場合にも、同調査が取締りの対象となることもあるので、共同調査を実施する中国側機関(学校等)と十分な打合わせが必要です(外国人や外国の団体が中国内で単独で市場調査や社会調査を行うことは禁じられています。調査を行うには資格のある中国側機関に委託して行う必要があります(「統計法実施細則」、「渉外調査管理弁法」等)。前述のとおり、GPSを使った自転車旅行も違法測量行為になりますし、軍事施設を写真に撮ったりするのも機密漏洩行為と見なされることがあります。

(3)宗教活動
 外国人の宗教活動は厳しく制限されています(「外国人宗教活動管理規定」)。例えば、外国人は、中国国内の寺院、教会等の宗教活動を許された場所以外では宗教活動に参加できませんし、省、自治区、直轄市以上の宗教団体の招聘なしに国内で遊説・説法を行うことも、県級以上の政府宗教管理機関が承認した場所以外で宗教活動を行うこともできません。
 また、「信教の自由」は認められているものの、宗教組織等の設立・組織化及び布教・宣伝活動は認められていません。違反者に対しては、政府により制止・阻止を受けます。特に、「法輪功」は「邪教」として当局の厳しい取締りの対象とされています。公共の場所(天安門広場等)で布教・宣伝活動を行うと、強制退去処分を受ける場合があるほか当局に拘束される場合もあります。

 
10.交通事情
(1)車は右側通行(左ハンドル)で、シートベルト着用が義務付けられています。
 市内の主な交通機関は、路線バス(トロリーバス、ミニバスを含む)、自転車、地下鉄、タクシー、自家用車等です。都市間移動には航空機、列車のほか、長距離高速バス網も近年急速に発達してきています。
 道路標識は、日本のものと似ていることから比較的わかりやすいと言えますが、注意は必要です。なお、中国では車両は赤信号でも右折してよいことになっていますので、歩行者信号が青でも右折車には十分注意して下さい。

(2)高速道路等の建設によって、遠隔地への所要時間は短縮される傾向にありますが、主要道路では渋滞が慢性化しています。また、幹線道路以外の路面は、一部陥没している部分もあるので注意が必要です(暗い夜道で、旅行者がフタをしていないマンホールに落ちてけがをした例もあります。)。

(3)ひと昔前に比べれば、交通マナーは向上しました。しかし、国内各地でその度合いにはばらつきがあり、依然として交通ルールを守らない運転者・歩行者が目につきます。速度超過、無理な車線変更や強引な割込みをする車両、オートバイ及び自転車等のほか、歩行者についても信号遵守しない者、車の有無に関係なく横断歩道以外の場所や交差点の真ん中を行き交う者、車の前後から突然飛び出す者などもおり、一般的に交通マナーが悪いため、特に都市部では接触事故が多発しています。
 よく「郷に入れば郷に従え」と言って、中国では交通ルールを守らなくてもよいかのように吹聴する日本人を見かけますが、大きな間違いです。交通ルールが徹底されていない中国に来てこそ、交通ルールを守る模範者として自ら規範を示すぐらいの自覚がほしいものです。

(4)万一、事故等に遭遇した場合は、まず交通警察(電話:122)に通報してください。事故現場の保全が義務づけられていますので、警察官の到着までは車両は移動させないでください。
 なお、被害に遭っても、日本と中国の経済格差及び賠償に関する法制度の違いから、事故を起こした相手方から十分な賠償を受けられるという保障はありません。渡航の前に海外旅行保険に加入することをお勧めします。

 
11 在留届の届出
海外に3か月以上滞在される方は「在留届」の提出義務があり、緊急時の連絡などに必要ですので、到着後遅滞なく在中国日本国大使館に「在留届」を提出してください。また、住所その他の届出事項に変更が生じたとき又は中国を出国する(一時的な旅行等を除く)ときは、必ずその旨を届け出てください。在留届は、在留届電子届出システム(ORRネット、http://www.ezairyu.mofa.go.jp/ )による登録をお勧めします。また、郵送、ファックスによっても届出を行うことができますので、大使館まで送付してください。

 
出典:外務省 海外安全ホームページ(http://www2.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure.asp?id=009)

 

 

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