カザフスタンのテロ・治安詳細情報.001

 
【危険度】
●カザフスタン全土
レベル1:十分注意してください。(継続)

【ポイント】
●カザフスタン全土で,イスラム過激派によるテロ活動や麻薬に関連のある犯罪が発生するおそれがあり,また,経済的困窮等を背景とする一般犯罪が多発していますので,十分注意が必要です。

 
1 概況
(1)これまでカザフスタンでは,2016年6月にアクトベ州でテロ事件が発生し,また,同年7月にはアルマティ市において複数の死傷者が出る治安機関等への襲撃事件が発生したこと等から,全土に対してカザフスタン国家保安委員会によるテロ警戒レベル「黄」が発出されていましたが,2017年1月15日をもって解除されました。しかし,カザフスタンでは昨年後半頃から治安機関による対テロ特別作戦がたびたび行われる等,テロ情勢の改善に向けた取り組みが進行中であり,今後も情勢を注視していく必要があります。
また,これまでに,カザフスタンにおいて日本人・日本権益を直接標的としたテロ事件は確認されていませんが,近年,シリア,チュニジア及びバングラデシュにおいて日本人が殺害されたテロ事件や,パリ,ブリュッセル,イスタンブール,ジャカルタ等でテロ事件が発生しています。このように,世界の様々な地域でイスラム過激派組織によるテロがみられるほか,これらの主張に影響を受けた者による一匹狼(ローンウルフ)型等のテロが発生しており,日本人・日本権益が標的となり,テロを含む様々な事件の被害に遭うおそれもあります。このような情勢を十分に認識して,誘拐,脅迫,テロ等に遭わないよう,また,巻き込まれることがないよう,海外安全情報及び報道等により最新の治安・テロ情勢等の関連情報の入手に努め,日頃から危機管理意識を持つとともに,状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心がけてください

(2)一般犯罪についても,2016年1月から11月までの間の,殺人,傷害,窃盗,薬物犯罪等を含む犯罪登録件数が35万4,556件と,引き続き犯罪が多発していることを示しており,厳しい情勢にあると言えます。

 
2 地域別情勢
カザフスタン全土:レベル1:十分注意してください。(継続)
(1)カザフスタンでは,現在テロ対策が重要な課題となっており,国家保安委員会にテロ対策センターを設け,同センターを中心に政府機関が一体となってテロ対策を行っていますが,国内をISIL,タリバーン等の過激主義者が移動したり,拠点を設置するなどして浸透してくる可能性があり,偶発的に邦人がテロや誘拐事件に巻き込まれる可能性は否定できないことから,情勢の変化には十分な注意が必要です。なお,2016年中に発生した,複数の死傷者が出た主なテロ事件等は次のとおりです。
ア 6月5日,複数の男がアクトベ市内の銃砲店を襲撃,さらに警察施設を攻撃し,治安部隊との間で銃撃戦が行われました。事件発生後,アクトベ州内で逃走していた犯人は全て逮捕されましたが,この事件では,警察官や民間人等,15名が死亡,12名が負傷しました。
イ 7月18日,アルマティ市に所在する同市アルマリ地区内務局アルマリ地区支部(警察署)において,男1名が警察官の銃を奪って発砲する事件が発生しました。男は逃走しながら警察官等に銃撃を加えるなどし,逮捕されるまでの間に,警察官4名,国境警備隊員1名,市民1名を殺害し,警察官3名,市民3名を負傷させました。
このほか,国家保安委員会副議長が議会において,2016年中,多くの市民が集まる場所でのテロを含む9件の過激主義的暴力活動の実行を阻止したと発表しています。

(2)治安当局も国境等を中心に麻薬の取締りを強化していますが,カザフスタンは地理的要因により,アフガニスタンからユーラシア大陸への運搬ルートになっている他,国内での販売目的の薬物も多く押収されています。また,多くの薬物中毒者が病院等に収容されていることを鑑みると,カザフスタン国内でも薬物がまん延している状況にあると見られます。
2011年11月,タラズで発生した自爆事件の犯人は麻薬により酩酊状態にあったとされ,また,過激主義者組織はメンバーの勧誘や洗脳に麻薬を利用する等,麻薬犯罪は他の凶悪犯罪やテロ行為と結びつくことも多く,麻薬中毒者による殺人,強盗等の凶悪事件と共に,麻薬密売組織と治安当局との衝突等が発生する危険もあり,治安状況の変化には注意が必要です。なお,2016年中,麻薬に関連した主な報道は以下のとおりです。
ア 7月2日,アクタウ州にて,治安当局による麻薬取締りの特殊作戦が行われ,賃貸アパートにマリファナ19kgを違法に保管していた地元住民が逮捕されました。
イ 8月23日,ペトロパブロフスク市内務局の発表によると,ジャンブル州シュ地区において,郵送によりマリファナを受け取っていた女性が逮捕され,女性の自宅から,乾燥マリファナ16kg,ハッシシ500gが押収されました。
ウ 9月14日,カザフスタン内務省は,インターネットを利用し,カザフスタン国内で麻薬を販売していた犯罪グループを摘発しました。このグループは,20歳から25歳までの者達8名で,スイス,ロシア,カザフスタンの有名大学の学生でした。グループが利用していた賃貸アパートからは約20kgの麻薬等が押収されました。
エ 12月9日,シムケント市にて,南カザフスタン内務局が麻薬取締りの特殊作戦を実施し,2名の者を逮捕すると共に,被疑者の衣服と利用車両から1kg以上のアヘンと60gのマリファナを発見,押収しました。

(3)一般犯罪の形態も組織化・凶悪化・多様化しており,都市部であっても,若者同士や知人同士の些細な口論から銃の発砲事件に発展するといった事件が発生しています。住宅街,バザール(市場),繁華街等では,外国人を狙った窃盗,強盗にも注意が必要です。邦人が被害に遭う地域としては,南部のアルマティ市やシムケント市とその周辺が多い傾向にありますが,アスタナでも散見されており,注意が必要です。

 
3 渡航・滞在に当たっての注意
(1)滞在中は,下記の事項や外務省や在カザフスタン日本大使館が公表している安全情報,さらに各種報道等を良く確認し,危険を避けるよう努めてください。

(2)カザフスタン国内のテロ情勢に十分留意すると共に,カザフスタンで活動する過激主義者と,周辺国に存在するテログループの連携によるテロ活動も考えられることから,周辺国の治安情勢にも十分注意してください。

(3)テロに関する警戒として,下記の点にも留意してください。
ア 公共機関や公共の場所等で,持ち主が分からない物(例:カバン,箱,包み,袋,ケース,特にケーブルや何らかの機械装置が付属している)が無造作に置かれているのを見つけた場合や,一見不審と認められる者を見た場合は注意してください。
イ 中身の分からない物を運ぶように依頼されても応じないでください
ウ テレビやラジオ等のニュースにより最新の治安情勢を良く確認してください。
エ テロ予防等の目的で街中での警察による警戒が強化されており,警察官から声をかけられた場合は,求めに応じてパスポートを提示する等,協力してください。なお,外出時パスポートを携帯する際は,紛失に十分注意してください。

(4)夜間の不要不急な行動や単独での行動は避け,安全確保に努めてください。

(5)街中で,複数の警察官が急いで向かっている方向や,罵声や悲鳴のような騒ぎ声が聞こえる方向には,絶対に近寄らないでください。

(6)もし,何らかのトラブルに巻き込まれた場合,ロシア語,カザフ語以外はほとんど通じませんので,現地語を理解する信頼の置ける方と行動を共にするようにしてください。

(7)万が一,滞在中に不測の事態が発生した場合には,自宅や職場又は周辺のホテル等,連絡手段の確保しやすい場所に速やかに避難するとともに,事態が沈静化するまで待機して,自らの安全を確保するよう努めてください。

 
出典:外務省海外旅行登録「たびレジ」提供情報を加工して作成

 

 

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