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1 ギラン・バレー症候群の集団発生
5月8日付の当国保健省(MINSA)の発表によれば,ラ・リベルタ県でギラン・バレー症候群の患者が15人以上発生したことを踏まえ,全国に疫学警報が発出されました。
これらの患者は,集中治療室等で治療を受けており,4人が人工呼吸による呼吸補助を受けています。
ギラン・バレー症候群は近年ジカウイルス感染との関連で話題になっていましたが,一般的には年間の発病率が10万人に1人と言われており,今回の発生数は異常と言えます。
原因に関しては現在調査中ですが,患者の便と脳脊髄液分泌物のサンプルからエンテロウイルスが検出されており,来週までには遺伝子型などその原因が判明する見込みです。
国立疫学研究所所長は,アルコールゲルなどによる手指の消毒やトイレへ行った後に良く手洗いをするなどの衛生対策をとるよう求めています。
また,同病は早期診断,治療が重要であるため,筋力が弱いなどの症状がある場合はすぐに医療施設を受診するように勧告しています。
一部報道では,リマ市内の病院にも同病の患者が入院しているとのことでしたが,同病院に照会したところ「今回のラ・リベルタ県での集団発生との関連は薄く,患者数なども例年どおり」とのことで,今のところ同県に限局した事象と言えそうです。
2 ギラン・バレー症候群について
(1)原因および症状
ギラン・バレー症候群は多くの場合,発症前4週以内に先行感染を伴い,その後の両側の麻痺(主に足から始まって上行する麻痺)を主体とする病気で,末梢神経を標的とした自己免疫によると考えられています。症状は4週以内にピークに達し死亡する例もある一方,概ね適切な治療により治癒することが可能だと言われています。原因はウイルス,ワクチン接種など様々ですが,ジカウイルスやインフルエンザワクチンなど,特定のものとの強い因果関係を認め多発する事例も存在します。
(2)治療
毒素を除去するための血漿交換や免疫グロブリン(血液製剤)の投与により,重症度が軽減され回復期が早まります。重症例では,呼吸筋麻痺に対する呼吸補助(人工呼吸)が行われることがあります。
在ペルー日本国大使館
出典:外務省海外旅行登録「たびレジ」提供情報を加工して作成