邦人被害事例の点で、これまでにはあまり見られなかった犯罪の形態ですので、市内での移動(特に視界の悪い夜間)に際しては、以下の留意点を参考とするなどしてお気を付けください。

 

 

事案概要

・9月16日(土)夜10時頃、邦人(1人)がタクシーでムササニ半島内のToure Driveををシークリフホテル方面(北側)から市内中心部方面に南下、途中で右折した直後に3人の男が現れ、そのうち1人が開いていた運転席の窓からタクシー運転手を引きずり出し、別の男が邦人のいる後部座席のドアを開けようと試みた(事案発生場所は未舗装のためスピードを落とさざるを得ず、犯人はそこを狙って潜んでいたものと考えられます)。

・しかし後部座席のドアはロックされていたため開かず、車外から犯人が解錠するよう要求するも乗車した被害者がこれに応えなかった。これに対して犯人は、車の窓をたたき割って車内への侵入を試みようとしたところ被害者は車外に出て無抵抗の意思を表するとともに持っていたバッグを明け渡した。被害者は犯人に取り押さえられる形で地面にたたきつけられたが、その後間もなく犯人らは被害者のバッグを持って逃走。

・被害品は盗まれたバッグに入っていた現金、携帯電話、パスポート。大きな外傷はないものの、地面にたたきつけられた際にすり傷を負った。

 

分析

・Toure Driveでは以前より同種の待ち伏せ型の強盗事件が発生していますが、邦人が被害者となる事案に関する連絡は今回がはじめてです。これはすなわち、邦人の生活範囲(エリアや時間帯)では発生していなかった犯罪が今回発生したといえます。

・また、タンザニア当局の公式な発表はありませんが、ここ数ヶ月、SNSなどでの一般犯罪被害事例の報告数が急増しており、これにともなって犯罪発生エリアや時間帯もまた拡大する傾向があります。

・複数犯による事件も少なくなく、ある程度の計画性がみられる点で被害者側が効果的な対策を講じるのがむずかしくなっています。
(ちなみに、今回の事案はウーバー利用中に発生、「犯人が後部座席の窓ガラスを割った」という点から運転手と犯人が共犯関係にあったとは考えられませんが、ウーバーの運転手が共犯となる事案は隣国ケニアでは頻発していますので、タンザニア国内の情勢の推移には注意が必要です。)

 

安全対策上のアドバイス

<信頼できる運転手の確保>

移動手段をタクシーなどによらざるを得ない場合に備え、知人などから紹介してもらうなどして信頼できる運転手の連絡先を複数確保する(タクシー運転手自身が実行犯又は共犯である事案が多数発生しています。また、運転手自身の事態対応能力や車のメンテナンス状況も犯罪遭遇時の被害の大きさに影響しますので、運転手の人柄のみならず危機管理能力の点で御自分の運転手として適格であるか気をつけてみるようにしましょう)。

<常日頃からの治安関連情報共有>

運転手を雇用されている場合には最近の犯罪発生状況について運転手と情報共有しながら、安全対策面を踏まえた移動ルートや移動する時間帯の共通認識を持つ(何らかの事情で移動が深夜におよぶ場合や急いでいる場合でも、誰かがかならず安全対策を考慮できる環境作りを心がけましょう)。

<事態対応のためのアタマの体操>

最近の犯罪発生状況を踏まえ、これらの事案に実際に遭遇した場合の対応要領をあらかじめ検討しておく(御自分で運転中に事案に遭遇した場合には、「運転」の動作と同時に「危機回避」又は「被害軽減」の動作をすることになります。少しでも被害を少なくするために、御自分の行動範囲でどのような事件が発生し得るのか、また、それへの対処法をあらかじめ考えておくようにしましょう)。

 
在タンザニア日本国大使館

 
出典:外務省海外旅行登録「たびレジ」提供情報を加工して作成

 

 

投稿者について

本ブログは海外治安情報を中心に配信しております。

おすすめ: